〜Special Short Story〜 |
「誤算の勝負下着」 |
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小さな旅行鞄を必死に探り、クマの顔がバックプリントされたパンツしか入っていないのを確認した私は、「やられた」と思わずつぶやいた。連れだって大浴場へ向かおうと、直之はすでに浴衣に着替えて、部屋の戸口で待っている。
彼氏との週末の一泊旅行にふさわしい、澄んだ水色の、レースがついたかわいいパンツを鞄に入れたはずだったのに。犯人はわかっている。姉だ。
昨晩、姉と喧嘩した。姉が私のCDやら服やらを黙って借りていくのが勘に障って、「勝手に部屋に入らないでよね」「いいじゃん、ケチ」と口論になった。姉はその腹いせに、荷造りしてあった私の鞄から水色のパンツを抜き取り、替わりにクマのパンツを入れたのにちがいない。まるで子どもだ。
今日一日穿いていたパンツを、湯を浴びたあとにまた身につけるのもなんだか嫌だ。しかたがない。私はクマのパンツをバスタオルの陰に隠し持った。「お待たせ」と直之に微笑みかけ、旅館の大浴場へ向かう。今夜、私がクマ柄のパンツを穿いていることに、どうか直之が気づきませんように、と祈った。 |
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